マインドフルネスの話

決断力を高めるマインドフルネス

シリコンバレーやウォール街などの多くの企業がマインドフルネスを人材育成のための研修プログラムに取り入れていることは、多くの方がご存じでしょう。そして、研修を受けているのはプレイヤーだけではありません。プレイヤーたちを指導し、企業の方針を決定する経営者やリーダー層もまた、マインドフルネスのトレーニングを積極的に実践しており、有名大学のMBAでも、マインドフルネスの導入が進んでいます。

その理由は、マインドフルネスの実践が、リーダー層の意思決定能力にポジティブな影響を与えることが分かっているためです。

シンガポール経営大学の組織行動学准教授ヨッヘン・リブの分析によると、マインドフルネスを取り入れた企業では、確定、作成、実施といった、あらゆる意思決定の段階において、マインドフルネスがプラスの効果をもたらすことが分かりました。
それだけでなく「スタッフのストレス軽減、リーダーへの信頼が向上することも確認されている」と同氏は語ります。

導入している企業では、何かを決断するミーティングの前に、スタッフでマインドフルな時間を取ることが実践されています。呼吸に集中したのち、計画の目標や意図を設定したり、決断のタイミングを特定したりといったことが行われているのです。

仕事だけに関わらず、人間関係や家庭の場においても、重要な意思決定を行う前には呼吸瞑想などを行って、マインドフルな状態に自分自身を整えることをおすすめします。自分が本当に望んでいることを内省したり、周囲からのプレッシャーに影響されることなく、自分が納得のいく決断をすることをサポートしてくれるはずです。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医