マインドフルネスの話

柔軟なリーダーシップを養うマインドフルネス

昨今は、誰もが知る大企業が倒産したり、小さなテック企業があっという間にグローバル企業へと急成長したりと、まさに先の見えない時代になりました。

企業のリーダー層は、そうした変化の波を見極めながら、柔軟な考え方で行動できるかどうかが、大きなカギとなっていることは間違いないでしょう。変化をチャンスと受け止めて、新しい可能性を発見しながら成長し続けるためには、必須の能力といえます。

とはいえ、前例重視で一度決めたことは変えたくない…という変化を恐れる傾向は誰もが持っているもの。いったいどうしたら柔軟性に富んだリーダーシップを持つことができるのでしょうか?

そうしたビジネス上のニーズに対して、マインドフルネスがひとつの解決方法になる可能性があります。

カナダのケベック大学が行った研究によれば、企業のリーダー層100人と、MBA学位取得を目指す学生62人を対象に調査・分析をしたところ、マインドフルネスレベルが高いほど、柔軟性が高い傾向があることが分かりました。さらに「戦略性」や「リーダーシップ」も、マインドフルネスレベルと正の相関があることが確認できたのです。

この結果は、「マインドフルネス能力を開発することで、柔軟性をそなえた指導力を高めることができる」――そんな可能性を示唆しています。

昨今、企業ではリーダー層を対象にさまざまな研修が行われていますが、そこへマインドフルネストレーニングを加えることが、時代の変化の中での適応力、成長力を備えた人材育成につながると期待できそうです。

参考:https://www.emerald.com/insight/content/doi/10.1108/JMD-06-2017-0213/full/html

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医