マインドフルネスの話

環境の変化に強くなるためのマインドフルネス

新年度を迎えると、学生は進学や進級、社会人は配属の異動や役職就任などで、新しい環境変わる人が多いことでしょう。逆に、自分が身を置いているコミュニティに新しい人がやってくる…ということもあります。
そうした環境の変化に対して気持ちが浮き立つ人がいる反面、変化が苦手な人にとっては大きなストレスになってしまうことも。

そもそも人は「いつも通り」に安心感を抱くものです。「いつもと違う」ということに対しては、警戒感や不安感を抱くのが当たり前。特に日本人は、遺伝的に不安を強く感じやすいといわれています。

新しい環境の変化に不安を募らせてしまう人に多いのが、「自分の想像に対して怖がってしまう」ケース。まだ起こっていないこと、まだ言われていないことをどんどん自分の頭の中で想像して、それに対して不安を膨らませてしまうのです。

そんなときには、一度静かにマインドフルネスの呼吸瞑想を行うことをおすすめします。呼吸に集中し、頭の中にある想像を一度からっぽにすることで、思考が一度リセットされます。すると、冷静さを取り戻し、現実をありのままに観ることができるようになるでしょう。

この効果は「ビーカーのなかの泥水」と例えられています。泥水はかき回し続けると濁ったままだが、静かにしていれば沈殿して水は澄んでいき、視界がクリアになる。
心も同じです。
「どんな環境にあっても自分は自分。あるがまま」という心で、新しい環境を受け入れていきましょう。

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医