マインドフルネスの話

「燃え尽き症候群」を予防するマインドフルネス

誰寄りも熱心に仕事に打ち込んでいた人が、ある日突然、意欲を失って会社を辞めてしまう。そんなケースが昨今、増えてきているようです。

これは「燃え尽き症候群(バーンアウト)」と呼ばれるもので、真面目で責任感が強く、完璧主義の人が陥りやすいといわれています。高い理想を持ち、寝食を忘れて仕事に打ち込む人ほど、その理想が実現できなかったとき、その反動で無力感に陥ってしまいやすいのです。

かつては、医療や福祉関係の仕事についている人が陥りやすいといわれていましたが、昨今では職種に関わらず多くの人に起こりうることとして認識されており、一般企業各社もその対策と予防に乗り出しています。

そんな中、マインドフルネス瞑想がこの燃え尽き症候群の発現を防ぐという研究が最近、チリカトリック大学医学部から発表されました。

新型コロナウイルスのパンデミックの中、高レベルのストレスにさらされながら臨床研修をする医学生を対象に行われた研究では、マインドフルネスベースのセルフケアプログラムを行った医学生は、燃え尽き症候群の有病率が48%から24%に減少することがわかりました。

研究者は「パンデミックの中でも、マインドフルネスベースのプログラムが苦痛を防ぎ、幸福を促進することに役立つことが示唆された」と語っています。

最近、仕事への情熱が失われてきた。やる気が出ないしすべてを投げ出したい。そんな気分が頭をもたげてきたときには、一度立ち止まって、静かにマインドフルネス瞑想をすることをおすすめします。燃え尽きてしまう前の、有効な予防法として取り入れてください。

参考:https://www.scielo.cl/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0034-98872021000600846&lng=en&nrm=iso&tlng=en

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医