マインドフルネスの話

たった一度の瞑想で脳活動は高まる!?

マインドフルネストレーニングを一定期間続けることで、メンタルにポジティブな変化が現れたり、認知能力が向上したりすることは、世界中で行われている多くの研究ですでに明らかにされています。

では、マインドフルネスのトレーニングは、長期間続けなければそうした効果が得られないのかというと、どうやらそうでもなさそうです。その可能性を示す研究が昨今発表され、話題を集めました。

それは、アメリカのチューレーン大学が行った、3年以上のマインドフルネス瞑想の実践者20人と初心者20人を比較対象した研究です。
対象者には脳センサーを装着してもらい、マインドフルネス瞑想の実践前後の脳活動をモニターしました。行ったのは、呼吸を1から9までを繰り返し数えるというシンプルな瞑想法。そして、瞑想後には注意力を測定するテストが行われました。

当然ながら、瞑想前のマインドフルネスレベルは実践者のほうが高く、さらに、注意力も高いことが分かりました。さらに、瞑想を行うと脳活動が優位に増加していることも確認されました。

一方、初心者はどうかというと、加齢に伴う注意力の低下はあるものの、瞑想を行うことで、経験豊富な実践者の脳活動に似た反応を示すようになることが分かったのです。

つまり、たった1度の瞑想でポジティブな反応が脳の中で起こったということ。当然ながら、数年単位の実践者の反応には及ばないようですが、これから瞑想を長く続けていくためのモチベーションとしては十分といえますね。

「どうも最近、注意力が落ちた…」という人は、今日からはじめていきましょう。

参考:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnhum.2024.1359198/full

川野泰周
臨済宗建長寺派「林香寺」住職、精神科医